ビジネス 2024年12月24日

エステサロンの開業届の書き方完全ガイド!青色申告との関係・提出期限・出さない場合のリスクも解説

エステサロンを開業する際、「開業届は必ず出さなければいけないの?」「出さなかったらどうなるの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、開業届を出さなくても罰則はありません。しかし、青色申告による最大65万円の税額控除が受けられない、融資の申請ができないなど、実質的なデメリットが大きいため、提出をおすすめします。

この記事では、エステサロンの開業届について、また、開業時に必要な書類について、書き方や提出方法、青色申告との関係、保健所への届出が必要なケースまで詳しく解説します。開業をスムーズに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

エステサロンの開業に必要な書類

個人事業主としてエステサロンを開業する場合、次のような書類が必要になります。

  • 開業届出書
  • 賃貸契約書
  • 保健所への届出書類(必要に応じて)
  • 事業計画書

開業届は税務署に提出する書類で、事業の開始日から1か月以内に提出します。

もし、何らかの事情で開業届を出さないとしても、とくにペナルティはありません。しかし、税制優遇が受けられない、といったデメリットがある点には注意が必要です。

また、施術内容によっては保健所への届出が必要になるため、事前に地域の保健所に確認しておきましょう。このほか、融資や助成金の申請には事業計画書が、店舗を借りる場合には賃貸借契約書などが必要です。

事業所得が増えて法人化する場合は、設立届出と自治体が指定する書類を提出します。

開業届を出さないとどうなる?3つのデメリット

開業届は所得税法で提出が義務付けられていますが、実は提出しなくても罰則や罰金はありません。しかし、開業届を出さないことで以下のようなデメリットが発生します。

青色申告が利用できず、最大65万円の控除を逃す

開業届を提出していないと、青色申告の承認申請ができません。青色申告は最大65万円の特別控除が受けられるため、年間で大きな節税効果があります。開業届を出さないまま白色申告を続けると、この控除が一切受けられず、税負担が増えてしまいます。

事業所得として認められず「雑所得」扱いになる可能性

開業届を提出していない状態で収入を得ると、税務署から「事業性がない」と判断され、雑所得として扱われる可能性があります。雑所得は経費として認められる範囲が狭く、また赤字の繰り越しもできないため、税制面で不利になります

融資や助成金の申請ができない

金融機関から融資を受ける際や、自治体の補助金・助成金を申請する際には、開業届の控えの提出を求められることがほとんどです。開業届がないと、資金調達の選択肢が大きく制限されてしまいます。また、保育園の入園審査でも「個人事業主である証明」として開業届が必要になる場合があります。

開業届を提出するメリット

ここでは、開業届を提出することで得られるメリットについて解説します。

※青色申告を行うには、開業届とともに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は開業日から2か月以内、または青色申告を始めたい年の3月15日までです。期限を過ぎると、その年は青色申告ができなくなるため、開業届と同時に提出することをおすすめします。

青色申告が選べる

開業届を提出すると、青色申告が選択できるようになります。青色申告は税制面で大きなメリットがあり、具体的には以下のような特典が受けられます。

青色申告特別控除として最大65万円の控除が適用される

e-Taxでの電子申告、または優良な電子帳簿保存を行う場合は65万円、それ以外の場合でも55万円の控除が受けられるため、大きな節税効果があります。また、簡易帳簿の場合でも10万円の控除が可能です。

家族への給与を「青色事業専従者給与」として全額経費に計上できる

通常、家族への給与は経費として認められませんが、青色申告であれば届出を行うことで経費化できるため、家族で事業を運営する場合には特に有利です。

少額減価償却資産の特例を利用できる

30万円未満の減価償却資産を一括で経費計上できる「少額減価償却資産の特例」も利用できます。エステ機器や家具などを購入した際、通常は耐用年数に応じて減価償却しなければなりませんが、青色申告であれば購入した年に全額を経費として処理できます。

赤字の繰り越しが可能

事業で赤字が出た場合、その損失を最長3年間繰り越せる制度もあります。開業初年度は赤字になることも多いですが、翌年以降の黒字と相殺できるため、事業のリスク管理がしやすくなります。

屋号で銀行口座が作れる

開業届を提出すると、サロンの名前である「屋号」で銀行口座が開設できます。屋号付きの口座は個人名義の口座と区別できるため、会計処理で混乱しません。

とくに青色申告の場合は、正確な帳簿管理のために事業専用の口座が欠かせません。また、取引先から「正式な事業である」と判断されやすくなり、仕入れなどのハードルが下がるのも利点です。

ただし、屋号付き口座の開設には開業届の控えが必要なので、事前に開業手続きを済ませておきましょう。

小規模企業共済に加入できる

開業届を提出すると、小規模企業共済に加入できる資格が得られます。小規模企業共済は、個人事業主や小規模経営者のために国が提供している制度で、退職金の準備などに有効です。

掛金は、月1,000円から70,000円の間で自由に設定でき、その全額が所得控除の対象になります。そのため、節税効果としても経営の助けになるでしょう。

さらに、廃業や死亡時にも共済金が支給されるので、万一のときも安心です。ただし、加入には条件があり、副業で給与所得がある人などは加入できないので注意してください。

エステサロン開業の初期費用と資金調達についてはこちら>>

開業届を出すベストなタイミングは?パターン別に解説

開業届は「事業の開始日から1か月以内」に提出するのが原則ですが、実際にはどのタイミングで出すのが最適なのでしょうか。ここでは、タイミング別のメリット・デメリットを比較してみます。

開業前に提出する場合

開業前に開業届を提出する最大のメリットは、開業日から青色申告が可能になることです。また、事業用の銀行口座もすぐに開設できるため、開業後の会計処理がスムーズに進みます。融資を受ける予定がある場合も、開業届の控えが手元にあれば申請手続きがスムーズです。

ただし、開業日を先に決める必要があるため、準備が遅れた場合に予定と実態がずれることがあります。とはいえ、開業予定が遅れたとしても変更手続きは不要ですので、大きな問題にはなりません。

開業後すぐ(1か月以内)に提出する場合

開業後1か月以内に提出する方法は、正式な開業日が確定してから届出ができるため、最も確実な方法です。法令で定められた期限内に提出することになるため、法的にも問題がなく、その年から青色申告も利用できます。

デメリットとしては、開業後の忙しい時期に提出を忘れてしまうリスクがある点です。開業準備や営業開始で慌ただしい中、つい後回しにしてしまうケースも少なくありません。開業後はすぐに手続きを済ませるよう、スケジュールに組み込んでおくことをおすすめします。

開業後しばらくしてから提出する場合

事業が軌道に乗ってから届出をしようと考える方もいますが、この方法にはデメリットが多くあります。まず、開業した年は青色申告ができないため、最大65万円の特別控除が受けられません。また、融資や補助金の申請にも開業届の控えが必要になるため、資金調達の選択肢が限られてしまいます。

さらに、開業届を提出していない状態で収入を得ると、税務署から「事業性がない」と判断され、雑所得扱いになる可能性もあります。雑所得は経費として認められる範囲が狭く、赤字の繰り越しもできないため、税制面で不利になります。

開業届を出さない場合

開業届を出さなくても罰則はないため、手続きの手間を省くことはできます。しかし、青色申告が一切利用できないことに加え、融資や補助金も受けられず、事業としての信用度も低くなってしまいます。開業届がないと、「正式に事業を行っている」という証明ができないため、取引先や金融機関からの信頼を得にくくなる点にも注意が必要です。

結論:開業後1か月以内がベスト

こうして比較してみると、開業後1か月以内に提出するのがベストなタイミングといえます。特に青色申告を初年度から利用したい場合は、開業届と同時に青色申告承認申請書も提出しましょう

もし開業届の提出を忘れてしまった場合でも、遅れて提出することは可能です。ただし、その年の青色申告には間に合わないため、翌年から青色申告を始めることになります。提出が遅れた場合は、できるだけ早く税務署に相談し、来年度以降に向けて青色申告承認申請書を提出することをおすすめします。

開業届の書き方と提出方法

エステサロンを開業するための「個人事業の開業・廃業等届出書」は、税務署で入手できるほか、国税庁の公式ウェブサイトからもダウンロードできます。必要な項目を記入し、都合のよい方法で提出しましょう。

開業届の書き方

エステサロンの開業届には、以下の情報を記載します。

  • 氏名・住所・連絡先:開業者自身の基本情報
  • 屋号:エステサロンの名前
  • 職業:エステティシャン(セラピストなどでもOK)
  • 開業日:事業を正式に開始する日付
  • 事業の概要:提供するサービスを具体的に記載
  • 所得の種類:事業所得

事業の概要は、「エステサロンの経営」や「化粧品の販売」など、わかりやすく記載してください。

また、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持っていない場合は、職業欄に「マッサージ師」と書かないように注意しましょう。

開業届の提出方法

開業届は、次の3つの方法で提出できます。

  • 窓口提出
  • 郵送提出
  • 電子提出(e-Tax)

窓口提出は、その場で受付印が押された控えを受け取れるため、すぐに開業届の証明が必要な場合に便利です。ただし、税務署の開庁時間(平日8時30分〜17時)内に行く必要があります。

郵送提出は、税務署に行く時間がない方に適しています。返信用封筒(切手貼付)を同封すれば、受付印が押された控えを返送してもらえます。ただし、控えの返送までに1〜2週間程度かかることがあります

e-Tax提出は、24時間いつでも自宅から提出できるのが最大のメリットです。マイナンバーカードとICカードリーダーまたはマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンがあれば、すぐに手続きできます。ただし、e-Taxでは印鑑付きの紙の控えは発行されないため、提出後に受信通知や申請データをPDFで保存しておく必要があります。金融機関によっては、紙の控えを求められる場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

いずれの方法でも、開業届は2部用意し、1部を提出用、もう1部を控え用として保管することをおすすめします。控えは、融資の申請や補助金の申請、保育園の入園手続きなど、さまざまな場面で必要になります。

【エステ開業】保健所への届け出が必要なケース

エステサロンを開業する場合、基本的に保健所への届け出は不要です。一般的なフェイシャルケア、痩身、リラクゼーションメニューを提供するだけであれば、保健所の許可は必要ありません。

ただし、以下のような施術を行う場合は例外的に届出が必要になります。

国家資格が必要な施術する

エステサロンで、次のような施術を行う場合、専門資格と保健所への届け出が必要です。

  • まつ毛エクステ:美容師免許
  • 顔そり:理容師
  • 指圧マッサージ:あん摩マッサージ指圧師免許
  • 鍼治療:鍼灸師免許

これらの施術を提供する場合は、保健所に必要な設備や資格証明書を提示し、法的な許可を得なければなりません。

エステサロンでは、さまざまなサービスを提供するケースがあります。そのため、事前に届出が必要な施術はないかどうかを確認しておくことが大切です。

首から上の施術を行う

首から上の施術を専門的に行う場合は、保健所への届出が必要になることがあります。たとえば、お顔のシェービングには理容師免許が必要なため、保健所に届け出なければなりません。

とくにブライダルエステでは、まつ毛パーマやフェイシャルエステ、顔のムダ毛処理を行うことがあるので注意が必要です。開業前には、施術内容について保健所に相談し、必要な届出や資格をしっかり把握しましょう。

エステでスタッフを雇う場合の書類

スタッフを雇用する場合は、開業届や営業許可とは別の手続きが必要です。手続きに必要な書類と提出先を解説します。

年金事務所

スタッフを社会保険に加入させるためには、年金事務所での手続きが必要です。「健康保険・厚生年金保険新規適用届」と「被保険者資格取得届」を提出し、スタッフが健社会保険に加入できる状態を整えます。

ただし、加入が義務付けられるのは、正社員だけではありません。一定の条件を満たせば、パートやアルバイトも対象になるため注意しましょう。

また、この手続きは、原則として雇用開始から5日以内に必要書類を提出しなければなりません。

ハローワーク

ハローワークに対しては、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。これは、雇用保険への加入手続きです。

雇用保険の適用を受けることで、スタッフが失業した際に失業手当を受けられるようになる仕組みです。週20時間以上の労働と、31日以上の雇用が見込まれるスタッフが対象になります。

また、サロン側は、従業員を雇い入れた日の翌月10日までに、管轄区域のハローワークに申請しなければなりません。この手続きは、対象となるスタッフが入るたびに行う必要があります。

労働基準監督署

労働基準監督署には「保険関係成立届」を提出し、労災保険の適用手続きを行います。これは、業務や通勤中に起きた傷病に対して、スタッフが補償を受けるために必要です。

また、スタッフを10人以上雇用する場合は、「就業規則」を作成し、労働基準監督署に届け出ましょう。就業規則には、勤務時間、給与、休日、退職に関する詳細なルールを明記してください。

このほか、スタッフ全員に労働条件通知書を交付し、労働契約内容を明確にすることも義務付けられています

必要な書類をそろえてスムーズに開業しよう

エステサロンの開業をスムーズに進めるために、必要な届出をしっかり確認しておきましょう。開業届を出さなくても罰則はありませんが、青色申告による節税効果や融資の申請など、実質的なメリットが大きいため、開業後1か月以内に提出することを強くおすすめします。

開業前に準備すべきチェックリスト

  • 個人事業の開業届出書を記入(2部用意)
  • 青色申告承認申請書を記入(青色申告を希望する場合)
  • マイナンバーカードまたはマイナンバーが確認できる書類を準備
  • 印鑑を準備(e-Tax提出の場合は不要)
  • 提供する施術内容が保健所への届出対象か確認
  • スタッフを雇用する場合は、労働保険・社会保険の手続きを確認

また、施術内容によっては保健所への届出が必要になるため、国家資格が必要な施術(まつ毛エクステ、顔そりなど)を提供する場合は、事前に管轄の保健所に確認しておくことが大切です。

さらに、スタッフを雇用する場合は、ハローワークや年金事務所、労働基準監督署への届出も忘れずに行いましょう。それぞれの届出には期限があるため、雇用開始前に必要な書類を確認しておくことで、トラブルを避けられます。

しっかりと準備を整えて、エステサロンの開業を成功させましょう。

この記事の執筆者

NBS

NBS編集部

株式会社NBSは創業以来、日本全国の約1,500店舗のエステサロンや美容室に脱毛機を導入し、約3,000店舗のサロンと商品取引を行ってきた美容総合メーカーです。特に脱毛機においては業界のリーディングカンパニーとして数多くの商品を開発してきました。本サイトでは、美容サロンに関するこれまでの豊富な知識と経験を活かし、サロンオーナーの皆様に役立つ情報発信を行ってまいります。

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