脱毛の需要が高まるに伴い、都市部だけでなく地方でも増えている脱毛サロン。
個人でも始めやすいという特徴もあり、これから開業しようと検討している人も少なくないでしょう。

しかし、気になるのはこれまで実際に脱毛サロンで働いたことがない未経験者や、独学で勉強した人でも開業は可能なのかということです。
本コラムではその点について解説するので、興味があればぜひご参考になさってください。

脱毛サロンを開業する人が急増

いまや脱毛は女性だけでなく男性の間にもすっかり浸透し、最近では子どものお客さまも徐々に増加している傾向にあります。
その背景もあって、脱毛サロンの開業を考えている人が少なくありませんが、需要の高ぶりだけが理由ではありません。

• • 他業種と比較して開業資金が少ない
  • 自分一人でも始められる

• 生産性が高い
• 必須となる国家資格などがない
• 在庫を抱えるリスクがない

上記の理由もあくまで一部であり、脱毛サロンの開業には他にも多くの特徴があります。
もちろんデメリットがないわけではありませんが、例えば飲食店と比較すると、開業のハードルはかなり低い傾向にあります。

独学・未経験でも脱毛サロン開業は可能なのか？

それでは本題に触れていきますが、独学で脱毛について勉強した方や、実際に働いた経験がない方でも脱毛サロンを開業することは可能なのでしょうか？

結論を言ってしまうと、不可能ではありませんが、かなり難しいです。

確かに、脱毛サロンの開業には資格取得といった必須条件がないため、それなりの資金さえあれば誰でもすぐに開業することができます。

しかし、地方ですら競争の激化が珍しくない現在の脱毛業界において、知識や技術を含め、十分なノウハウがないまま開業することはかなりのハイリスク。
意気揚々と出店したはいいものの、その多くは開業から数年と経たないうちに廃業してしまうという事実があります。

脱毛サロンがすぐ廃業してしまう原因3選

開業から数年以内に廃業してしまう脱毛サロンが多いということは事実ですが、もちろん上手く運営して繁盛しているサロンもあります。
両者の違いは何なのか、何が原因で廃業してしまうのか、具体的な例を紹介します。

上手く集客できていない

一つ目の要因は、集客が上手くいかず新規顧客を獲得できないということです。
フランチャイズとして開業するのであれば多少緩和されるリスクではありますが、そうでない場合は完全にゼロの状態から事業をスタートすることになります。

開業当初は友人・知人に来てもらうことで無難に滑りだすことも可能ですが、それもあくまで一時的なもの。
きちんと集客できていなければ、1カ月も立たないうちに客足が途切れてしまうということも十分ありえます。

ウェブサイト・メディア広告・SNSなど、効果的だと思えるものは積極的に活用し、たくさんのお客さまに足を運んでもらうよう努めましょう。
また、初回割引サービスやキャンペーンといった施策は、新規顧客の獲得においてメジャーな手法です。

スタッフの技術不足

部位にもよりますが、脱毛は基本的に何度も何度も足を運んでもらって、その回数に伴った料金を支払ってもらうサービスです。
だからこそ生産性が高いビジネスだと認識されていますが、ひるがえすと、たった一度で見限られてしまうリスクがあるということでもあります。

その理由もいくつか考えられますが、代表的なものはスタッフの技術が及ばず、十分な効果が得られなかった場合です。

場合によっては数十万円もかかる脱毛において、信頼できないまま何度も来店してくれるお客さまは稀です。
割安なコース・プラン制度を導入することによってお客さまを引き留めておくという手段もありますが、脱毛はすぐに効果が現れるものではないため、初回来店時に即成約してもらうことは難易度が高いです。

売上がコストに見合わない

• 人件費
• 家賃
• 水道光熱費
• 備品代・メンテナンス費用
• 広告費

上記は脱毛サロンを運営していく上で少なからず負担となるランニングコストですが、例えスタッフが自分一人だけの小規模な店舗であるとしても、最低月間数十万円、場合によっては100万円以上かかることも考えられます。

いくら脱毛サロンの生産性が高いといっても、それでは売上がコストに見合わず、廃業を余儀なくされる場合もあります。

となると、それなりの売上では手放しで喜ぶことはできないかもしれません。
競争が激しい地域では少しでも料金を下げて集客を図りたいところですが、ランニングコストとのバランスにも配慮していく必要があります。

未経験で脱毛サロンの開業を成功させるには？

脱毛サロンの経営を成功させるために押さえるべきポイントはたくさんありますが、ここでは未経験で脱毛サロンの開業を検討する方にまずは知っておいてほしい3点について解説していきます。

• コンセプトを明確に設定する
• 立地を慎重に検討する
• 他店との差別化を図る

コンセプトを明確に設定する

まずはどんなお客様に来店してもらいたいかをよく検討してみてください。ターゲットが決まったら、ターゲットの立場でどんな脱毛サロンに行きたいかを考えてコンセプトを策定しましょう。

コンセプトを明確にしておくことは、開業準備をスムーズに進めていく上で大きく役立ちます。内装のデザインや施術メニュー、価格設定などに迷った際に「コンセプトに従っているか」という一貫した判断基準を設けることができるためです。

狙った客層の方が快適に施術を受けられる環境を整えれば、施術に満足してリピートしてもらえる可能性が高まり、安定した売上の獲得に繋がります。

立地を慎重に検討する

新たに開業した脱毛サロンの集客力に大きく影響する要素として、店舗の立地が挙げられます。脱毛は1回施術するだけでは効果を実感できず、2週間～１ヶ月ほどの間隔を空けて継続して通うことを前提としています。

そのため、アクセスが良い、自宅から近いといったポイントを脱毛サロン選びの決め手とするお客様は多いです。ターゲットが多く居住している、ターミナル駅から徒歩圏内にあるといった条件の立地を選ぶと良いでしょう。

他店との差別化を図る

数多くの競合の中からお客様に選ばれ続けるためには、他店と比較して魅力的に感じられるような強みが求められます。手厚いアフターフォローやオーダーメイド施術など、サロンならではのメリットを提供しましょう。

なお、低価格や脱毛効果といったありきたりな強みを打ち出すのはおすすめできません。より安い、より効果の高い脱毛サロンが新たにできるとお客様は簡単に流れてしまうためです。

未経験で脱毛サロンを開業する方法

未経験で脱毛サロンを開業する場合の選択肢として、大きく以下の2つが挙げられます。

• 個人サロン
• フランチャイズ

個人サロンとフランチャイズの大きな違いは、利益率と経営サポートの有無の2点です。

フランチャイズ契約を結ぶと、本部から経営に関するアドバイスを受けることができます。脱毛サロンを開業する際のノウハウを学ぶことができるため、未経験でも安心して開業しやすいと言えます。一方、本部にロイヤリティを支払わなければならず、個人サロンに比べて利益率は低いです。

個人サロンを開業する場合は、自宅やテナント物件、マンションや賃貸など開業する場所を自由に選べます。加えて、開業時間や施術メニュー、物販のラインナップといった経営方針について大きな裁量を持って経営することが可能です。

一方で、フランチャイズの加盟店が利用できるような経営支援を受けることはできません。独学で開業するのは難しいため、業務用脱毛機メーカーの経営サポートを利用する、経営コンサルを依頼するといった対応が求められます。

脱毛サロン開業に必要な資格・技術は？

今一度説明しておくと、脱毛サロンを開業するにあたって必ず取得しなければならないような国家資格はありません。
しかし、民間団体が認定している資格は多数あり、いずれかを所持しているだけでもお客さまの信頼に繋がります。

• 認定脱毛士（日本脱毛安全普及協会）
• 認定トータルエステティックアドバイザー（日本エステティック協会）
• 認定電気脱毛士（米国電気脱毛協会）

この他にも様々な資格がありますが、取得難易度はそれぞれ異なり、講習を受けるだけで取得できるものもあれば、一定期間以上の実務経験が必要になるものもあります。

もちろん高難易度の資格は所持しているだけで大きな信頼に繋がるため、機会があれば積極的に挑戦していきましょう。

どうやって勉強すればいい？

脱毛士やエステティシャンに必要なスキルは、大まかに知識・技術・接客の3要素と言われることがあります。
それぞれをどのように身に着けていくかは人によって様々ですが、やはり手っ取り早く習得する方法は誰かに教えてもらうことです。

講習・スクール・通信講座など、選択肢はいくつかありますが、新型コロナウイルスの影響もあってか、以前と比較してオンラインで学べる環境が整ってきました。

そして、自分自身で他の脱毛サロンを訪れるということも有効な学習手段です。

他の脱毛サロンを訪れる最大のメリットは、脱毛サロンのサービスをお客様の立場で体験できることです。

顧客満足度をアップさせるには、お客様の気持ちに寄り添ったサービスの提供が欠かせません。実際に他店のサービスを客として利用することによって、経営者の視点では思いつかないような以下のようなポイントに気づくことができます。

• 薄着で施術を受けるお客様に合わせて空調の温度は高めに設定する方が良い
• トイレの鏡の曇りといったちょっとした汚れもお客様に不潔な印象を与える

自分が思い描いている出店イメージと似通った競合サロンに行くことで、多くの発見があることでしょう。

一度就職するという選択肢もおすすめ

一旦他人が経営している脱毛サロンに就職するというのも大いに考えられる選択肢です。
一見遠回りにも見えますが、未経験者にとって運営側を覗けることは非常に有用な体験となるでしょう。

どれだけの期間勤めることが適切かは人や店によって異なるものの、長ければ良いというわけでもありません。
その分の経験値は蓄積されていきますが、そのせいで本来の目標である開業が遅れてしまえば本末転倒です。

ただ、安定した経営を持続していくためには実務経験があるに越したことはありません。
もし本当に脱毛に関して何の知識や経験もない方であれば、急いで開業する必要がない限り、一度就職するという選択肢をおすすめします。

まとめ

独学で勉強した人、サロンでの勤務経験がない人の開業についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
一見ハードルが低いように見える脱毛サロンですが、業界全体で見れば既にブルーオーシャンとは呼べません。

故に十分なノウハウを持っていない人の開業は、非常に高いリスクが伴うということを理解しておきましょう。

また、「資金には余裕があるから運営しながら学んでいこう」という考え方も危険です。
一度悪い印象を持たれてしまい、それが広まってしまうと致命的なダメージにもなりかねません。

資金にゆとりがあるのであれば、余計準備に十分な手間暇をかけて、万全な状態で開業に臨みましょう。

美容機器メーカーのNBSでは、脱毛サロン運営にすぐに役立つ有益な情報を無料で提供しております。マシン選びだけではなく開業に関して情報収集中の方もお気軽に活用してください。