近年、脱毛サロンの倒産が相次いでおり、脱毛業界はやばいという声が目立ち始めました。脱毛業界は急成長産業として注目を集め、数多くの脱毛サロンや脱毛クリニックが次々と開業し、大規模な広告展開によって市場を拡大してきました。しかし、2024年から2025年にかけて、業界を取り巻く環境は大きく変わり、経営難に陥る脱毛サロンやクリニックは増えています。
東京商工リサーチの発表によると、2024年度の脱毛サロンやクリニックの倒産は過去最多を記録しました。業界全体の約4割が赤字経営に陥っており、今後もこの傾向が続くと予想されています。本記事では、脱毛業界がやばい理由について詳しく解説していきます。これから脱毛サロンを開業する上でのポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
脱毛業界の現状
2025年5月に株式会社帝国データバンクによって発表された調査データによると、脱毛業界では赤字経営が全体の4割を超える状況となっています。2024年度の倒産件数は過去最多を記録し、その数は年間100件を超える見込みとなっています。
最近では、大手脱毛サロン「ミュゼプラチナム」の全店舗休業が大きなニュースとなりました。そのため、脱毛業界はやばいというイメージが強くなっています。脱毛業界を取り巻く現状は、あまり良くないのは間違いありません。しかし、その中でも安定した経営を続けている脱毛サロンも存在するため、経営の方法を工夫すれば、十分に稼げるビジネスモデルでもあります。
脱毛サロンが倒産が相次いでいる原因
脱毛サロンの倒産が相次いている原因としては、以下の4つが考えられます。
それぞれ詳しく解説します。
脱毛サロンの増加による価格競争の激化
脱毛サロンはYouTubeやXなどの各種SNSで、多種多様な広告が打ち出されました。その影響で脱毛サロン自体の知名度は大幅に向上し「稼げるビジネスモデル」として、多くの方が参入しました。その結果、脱毛サロンの数自体が大幅に増加し、価格競争が激化したのが倒産に繋がった原因の1つです。
競合の脱毛サロンが増えると、それだけ顧客を獲得するのが難しくなります。脱毛サロンは複数の施設を利用するケースが少ないため、競合に顧客を取られると経営の悪化に直結しかねません。そのため、競合に負けずに顧客を獲得するためには、価格を下げる必要があります。
実際に多くの脱毛サロンが施術価格を下げて、集客に取り組みました。しかし、施術価格を下げると、利益率も下がってしまいます。結果として、安定した利益を確保し続けることができず、倒産につながってしまいました。
高額な初期投資
脱毛サロンを開業するためには、高額な脱毛機器の導入や店舗の内装費など、多額の初期投資が必要です。業務用脱毛機の価格は数百万円から数千万円と高額で、その後のメンテナンス費用や消耗品の交換費用も経営を圧迫する要因となっています。
銀行から融資を受けたものの、その返済ができなくなり、脱毛サロンを倒産させざるを得なくなったケースは少なくありません。
クーリングオフ・返金トラブルの増加
回数券やコース契約が主流の脱毛市場では、クーリングオフや返金要求によるトラブルも増加しています。特に大手サロンの倒産ニュースが相次ぐ中で、「サロンが倒産したら契約金は戻ってこない」という不安から、未施術分の返金を求める顧客も増えています。
しかし、前受け金を既に使用してしまっているサロンでは、返金対応が難しく、結果として顧客との間にトラブルが生じ、さらなる信用低下を招くという悪循環に陥っています。
経営スキルの欠如
脱毛サロンが倒産した最大の要因が、基本的な経営スキルの欠如です。例えば、利益を十分に見込めないのに過度な広告を出しても意味がありません。現在のユーザーは広告をに対するリテラシーもあがっており、逆にサロンのイメージ悪化に繋がる可能性もあります。
しかし、それを理解せずに多額の広告費を使う脱毛サロンが多く、結果として倒産に繋がったと考えられます。脱毛サロンが儲かりやすいビジネスとして目をつけた一部の方々が、正しい経営を行えずに倒産させてしまったと考えられるでしょう。
脱毛サロンの経営を安定させるための方法
先ほども述べたように、脱毛サロンが倒産する主な原因は、基本的な経営スキルの欠如にあります。つまり、正しく経営を行えば、現状でも脱毛サロンの経営を安定させることは可能です。脱毛サロンの経営を安定させるための方法は、主に5つです。
それぞれ詳しく解説します。
スモールスタートを意識して開業を行う
脱毛サロンの経営を持続可能なものにするためには、「スモールスタート」の考え方が重要です。開業時から広い店舗や高額機器を揃えるのではなく、必要最小限の設備と人員で脱毛サロンの経営を始め、売上が安定してから設備を拡大するようにしましょう。
また、家賃や広告費などのランニングコストを定期的に見直し、固定費をなるべく削減することも重要です。最初は顧客が少なくても問題ないので、なるべく経営にかかる費用を減らすようにしましょう。
適正価格でサービスを提供する
過度な価格競争を避け、適正な価格でサービスを提供することも重要です。低価格での集客は一時的に効果があるものの、利益が残らなければ経営を続けるのは困難です。
他サロンと同じような料金設定で施術を提供するのではなく、自分のサロンの強みを活かし、差別化されたサービスに見合った適正価格を設定することが大切です。価格以外の価値を顧客に伝え、リピート率を高めることが、長期的に収益を安定させる上では効果的です。
リピーター獲得に繋がる施策を行う
新規顧客の獲得ばかりに注力するのではなく、既存顧客の満足度を高めて定期的に通ってもらうことが、経営を安定させるポイントです。回数券やメンバーズ特典、誕生日キャンペーンなどを導入して、リピート率を高めましょう。
また、施術の質を高めて、アフターケアを徹底して行えば、顧客満足度の向上に繋がります。口コミによる新規顧客獲得にも効果的なため、基本的なサービスの見直しも行いましょう。新規顧客獲得するために多額の広告費を投資するのではなく、リピーターの獲得に注力するという考え方が重要です。
収益の柱を分散させる
安定した経営を行っている脱毛サロンの多くは、脱毛以外にも収益の柱があります。例えば、化粧品や美容グッズの販売、フェイシャルケアのようなエステメニューの追加などが挙げられます。特にエステメニューを追加すると、顧客1人あたりの単価が大幅に向上する可能性があるため、利益を拡大させる上で非常におすすめです。
脱毛だけで安定した収益を確保するのは容易ではありません。脱毛だけではなく、美容全般をサポートする施設として、どうすればお客様により満足していただけるかを考えてサービスを提供しましょう。
地域に密着したサービスを提供する
脱毛サロンを経営する上で、大手脱毛サロンとの差別化は欠かせません。差別化する方法として、おすすめなのが地域に密着したサービスの展開です。大手脱毛サロンは全国展開しているため、各地域ごとにサービスを展開するのは容易ではありません。
しかし、個人で経営している脱毛サロンであれば、地域に密着したサービスを展開しやすいです。例えば、地元の祭りに協賛として参加したり、近隣の商店街と連携したクーポンを配布したりといった施策が考えられます。
脱毛サロンを経営する上で大切なのは、多額の利益を得ることではなく、安定して黒字を維持することです。地域に密着したサービスでは、アプローチできる見込み顧客の人数は少ないかもしれません。しかし、確度の高いアプローチが可能なため、安定した経営基盤を築く上では非常に有効な施策です。
脱毛業界は経営方法次第で十分に稼げる可能性がある
脱毛業界は今、大きな転換点を迎えています。過剰な広告投資や前受け金に依存したビジネスモデルの限界が露呈し、多くの企業が経営難に直面している現状は、やばい状況といえるでしょう。
しかし、脱毛業界自体の未来が暗いというわけではありません。経営方法次第では、十分に稼げる可能性もある業界です。顧客と信頼関係をしっかりと構築して、継続して脱毛サロンに通ってもらえるような取り組みを行いましょう。